【著者 パーソナルトレーナー・健康管理士・健康管理能力検定1級 鳥飼 祥秋】
少し運動するとすぐに息が荒れてしまう。
体力に自信がない。
そういった方は食事や運動不足が理由ではなく、低体力が理由で脂肪がつくことをご存じですか?
低体力で脂肪がついた方が、ダイエットをする場合は専用の方法があります。
なんとなく運動をして、なんとなく食事制限をすることは推奨できません。
今日は有酸素能力が低くて太ってしまった方のダイエット方法について解説していきたいと思います。
是非参考にしてみてくださいね。
トータルケアラボラトリーでは健康管理士資格保有者とトレーナー資格保有者があなたの健康、ダイエット、美容についてサポートさせていただきます。
予防医療とフィットネスをコラボさせたパーソナルトレーニングジムです。
健康管理士であり、トレーナーでもある鳥飼が情報をブログにて配信しています。
是非、過去の記事も参考にしてください。
1章.最大酸素摂取量
最大酸素摂取量とは、人間の身体が酸素をどれだけ効率的に取り込めるかを表す指標の一つです。
略してVO2maxとも呼ばれます。
運動強度が高くなるほど、身体はより多くの酸素を必要とします。
最大酸素摂取量は、運動強度が最大限になった時に、身体が取り込むことができる最大量の酸素のことを指します。
最大酸素摂取量は、運動能力や持久力の指標として利用されます。
高い最大酸素摂取量を持つ人は、同じ強度の運動でも疲れにくく、長時間継続することができます。
また、スポーツ選手やアスリートなど競技者のトレーニングにおいても重要な指標となっています。
最大酸素摂取量は、個人差があります。
年齢や性別、遺伝的要因などが影響するためです。また、トレーニングによっても変化します。
定期的な有酸素運動によって最大酸素摂取量を向上させることができます。
最大酸素摂取量を測定する方法には、エルゴメトリー法や直接測定法などがあります。
エルゴメトリー法は、運動負荷をかけながら呼吸ガスの酸素摂取量と二酸化炭素排出量を測定する方法です。直接測定法は、身体内の酸素濃度を測定する方法です。
最大酸素摂取量は、健康管理やスポーツトレーニングにおいて重要な指標の一つです。
適切なトレーニングや生活習慣改善によって、最大酸素摂取量を向上させることができます。
VO2maxを正確に測定するには、呼吸ガス分析法が必要ですが、安静時の脈拍から推測することもできます。
安静時の脈拍からVO2maxを推測する方法は、カルバノープ式と呼ばれる式を用いることで行われます。カルバノープ式は以下のように表されます。
VO2max = 15 x (最大心拍数 / 安静時心拍数)
この式では、最大心拍数と安静時心拍数が必要です。最大心拍数は、年齢や性別によって異なりますが、一般的に220から年齢を引いた値が使われます。
例えば、30歳の場合は220-30=190となります。
安静時心拍数は、安静時に測定した脈拍数を用います。
参考:なぜ全身持久力が必要なのか -健康と全身持久力の関連性-厚生労働省
2章.低体力の問題
VO2maxが低い場合、運動能力が低下し、疲れやすくなります。また、心臓や血管系、呼吸器系などの健康状態にも影響を与えることが知られています。
低体力の問題点としては、以下のようなものが挙げられます。
- 日常生活での制限
VO2maxが低いと、日常生活でも疲れやすくなります。例えば、階段を上るだけでも息切れしてしまったり、長時間歩くことができなかったりすることがあります。これによって、生活の質が低下する可能性があります。 - スポーツパフォーマンスの低下
スポーツ選手にとっては、VO2maxが高いことは重要な要素です。VO2maxが低い場合、疲れやすくなり、パフォーマンスが低下することがあります。また、怪我をしやすくなることも知られています。 - 健康リスクの増加
VO2maxが低いと、心臓や血管系、呼吸器系などの健康状態に影響を与えることがあります。例えば、高血圧や動脈硬化、肥満などのリスクが増加することが知られています。また、糖尿病や骨粗鬆症などの疾患に罹患するリスクも高まることがあります。
参考:最大酸素摂取量が健康のバロメーター-公益財団法人 長寿科学振興財団
3章.低体力で太る
低体力の人々は、運動によって消費されるカロリーが少なく、代謝率が低いため、太りやすい傾向があります。
低体力の原因は、主に運動不足や生活習慣病などが挙げられます。
運動不足によって筋肉量が減少し、基礎代謝量が低下するため、カロリー消費量が減少します。
また、生活習慣病によって血管や心臓などの機能が低下し、酸素供給能力が低下するため、VO2maxも低下します。
さらに、低体力の人々は、運動によって疲れやすくなります。
そのため、運動を行う回数や時間が減少し、カロリー消費量も減少します。
また、疲れやすさからストレスを感じることも多く、ストレスホルモンの分泌が増加するため、脂肪の蓄積が促進されます。
低体力は運動不足や生活習慣病などによって引き起こされるため、適度な運動や健康的な生活習慣を取り入れることが重要です。
これによって、筋肉量や基礎代謝量が増加し、カロリー消費量が増えるため、太りにくい体質を作ることができます。
4章.低体力と食事制限の相性の悪さ
低体力で太った人がダイエットのために食事制限をすることが逆効果です。
それは食事制限によって更に身体の代謝率が低下するためです。
身体の代謝率は、身体がエネルギーを消費する速度を示す指標であり、最大酸素摂取量と密接な関係があります。
最大酸素摂取量は、身体が酸素を利用してエネルギーを生産する能力を示す指標であり、運動能力や健康状態を反映します。
低体力で太った人は、運動不足や筋肉量の低下などにより、最大酸素摂取量が低下しています。
そのため、身体の代謝率も低下し、通常よりも少ないカロリーでも太りやすくなっています。
さらに、食事制限によって栄養不足に陥り、筋肉量が減少することで、身体の代謝率がさらに低下してしまいます。
また、食事制限によってストレスが増大し、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が増加することも逆効果です。
コルチゾールは、脂肪を蓄積しやすくする作用があり、ダイエットに成功しにくくなります。
5章.高重量トレーニングが逆効果
低体力で太った人は、VO2maxが低く、運動に対する耐性が低い傾向があります。
ダイエットのために高重量のウェイトトレーニングを行うことで、筋肉量が増加し、基礎代謝量が上昇するため、脂肪燃焼効果が期待できます。
しかし、同時に筋肉量が増加することで、身体全体の酸素需要も増加します。
このため、VO2maxが低い人が高重量のウェイトトレーニングを行うと、筋肉量は増えますが、同時に酸素摂取量も増加するため、運動に対する耐性は向上しません。
さらに、高重量のウェイトトレーニングは筋肉を疲労させるため、運動後の回復期間も長くなります。
この回復期間中には、筋肉が修復されるために多くのエネルギーが必要となります。そのため、身体全体の酸素需要が増加し、VO2maxが低い人にとっては負担が大きくなります。
VO2maxが低い人が高重量のウェイトトレーニングを行うことは逆効果であり、運動に対する耐性を向上させるためには、有酸素運動を中心としたトレーニングが必要です。
6章.vo2max10以下の死亡率
VO2maxが高いほど、より効率的に酸素を取り込み、より長時間運動することができます。
研究によると、VO2maxが10以下の人々は、死亡率が高くなる傾向があります。
これは、心臓病や肺疾患などの健康問題によって引き起こされる可能性があります。
また、高齢者やボディビルダーなどの競技者も同様にリスクが高くなる可能性があります。
ボディビルダーは、筋肉量を増やすために非常に重い重量を扱うことがあります。
これは、心臓への負荷を増加させる可能性があります。心臓発作や突然死のリスクが高まる可能性があります。
また、高齢者は、VO2maxが低下する傾向があります。
これは、筋肉量や心肺機能の低下によるものです。
また、高齢者は、薬物治療を受けている場合があります。
これらの薬物は、心臓への負荷を増加させる可能性があります。これらの要因が重なると、心臓発作や突然死のリスクが高まる可能性があります。
参考:日本人男性における有酸素能力と生命予後に関する縦断的研究-日本公衆衛生学会
7章.vo2max42以下のダイエット
VO2maxが42以下を低値と評価します。
低値では運動によるエネルギー消費が少なくなります。
そのため、ダイエット効果が出にくく、太りやすい傾向があります。
VO2maxが低い人は、運動によって消費されるカロリーが少ないため、同じ運動量でも消費されるカロリーが少なくなります。
また、代謝率も低くなるため、基礎代謝量が少なくなります。これらの理由から、VO2maxが低い人は、同じ食事や生活習慣でも太りやすくなります。
さらに、VO2maxが低い人は、運動によって燃焼される脂肪の割合が少なくなります。
これは、有酸素運動における脂肪酸の利用能力が低下するためです。そのため、同じ運動量でも脂肪を燃焼しにくくなります。
このことからも、VO2maxが低い人は、ダイエット効果が出にくいと言えます。
8章.vo2max42以上のダイエット
VO2maxが42以上であればダイエットは成功する可能性が出てきます。
VO2maxが高い人は、同じ運動強度であっても、より多くのカロリーを消費することができます。
これは、高いVO2maxが心肺機能や筋肉の酸素利用能力を向上させるために、より多くのエネルギーを必要とするからです。
そのため、高いVO2maxを持つ人は、同じ運動量でもより多くの脂肪を燃焼させることができます。
また、高いVO2maxは基礎代謝量を増加させるため、ダイエット中にも脂肪燃焼効果が持続しやすくなります。
基礎代謝量が増加することで、身体が休息している時でも多くのカロリーを消費することができるため、ダイエット効果が高まります。
VO2maxを向上させるためには、有酸素運動が効果的です。
有酸素運動は、心肺機能や筋肉の酸素利用能力を向上させるために必要な運動であり、ランニングやサイクリングなどの有酸素運動を継続的に行うことで、VO2maxを向上させることができます。
また、低重量高回数の筋力トレーニングもVO2maxを向上させるために重要です。
持久力に富んだ筋肉量が増加することで、基礎代謝量が増加し、脂肪燃焼効果が高まります。
さらに、筋肉量が増加することで、同じ運動強度でもより多くのカロリーを消費することができるため、VO2maxも向上します。
9章.目指すはvo2max50
VO2maxは、一般的には分単位あたりの酸素摂取量(ml / kg / min)で表されます。
VO2maxが高いほど、身体はより効率的に酸素を利用できるため、より長時間運動することができます。
一般的に、VO2maxが50以上の人は、健康的な生活を送る上で多くの利点があります。
VO2maxが高い人は、心臓血管疾患のリスクが低いことが示されています。
これは、心臓や血管がより効率的に働くためです。
また、高いVO2maxは、高血圧や高コレステロールなどのリスク因子も低下させることができます。
また、VO2maxが高い人は、糖尿病や肥満などの代謝疾患のリスクが低いことが示されています。
これは、身体がより効率的にエネルギーを消費できるためです。
他にも、VO2maxが高い人は、骨密度が高いことが示されています。
これは、運動によって骨に刺激が与えられるためです。高い骨密度は、骨粗鬆症などの骨関連疾患のリスクを低下させることができます。
10章.低重量高回数トレーニング
低重量高回数トレーニングは、軽い重量を使って多くの回数をこなすトレーニング方法です。
この方法は、筋肉の持久力を向上させるために使用されます。通常、1回あたりの重量は、個人の最大重量の30%〜60%程度に設定されます。
低重量高回数トレーニングは、筋肉の持久力を向上させるために非常に効果的です。
このトレーニング方法では、筋肉が疲れるまで多くの回数をこなすため、筋肉繊維がより多く活性化されます。
これにより、筋肉繊維がより多くの酸素を必要とするようになり、結果としてVO2maxが向上します。
低重量高回数トレーニングは、筋肉の持久力を向上させるだけでなく、心臓血管系の健康にも良い影響を与えます。
このトレーニング方法は、心拍数を上げ、心臓の強さを増すため、心臓血管系がより効率的に酸素を運ぶことができるようになります。
低重量高回数トレーニングは、筋肉の持久力を向上させるために非常に効果的なトレーニング方法です。
この方法は、筋肉繊維を活性化し、VO2maxを向上させることができます。また、心臓血管系の健康にも良い影響を与えます。
過去の記事:女性こそ筋力トレーニングをすべき理由
11章.HIITトレーニング
HIIT(High-Intensity Interval Training)トレーニングは、短時間で高強度の運動を行うトレーニング方法です。
このトレーニング方法では、短い期間の高強度の運動と、同じまたは異なる運動の低強度の回復期間を交互に繰り返します。
HIITトレーニングは、有酸素運動と無酸素運動の両方を組み合わせて行われるため、筋肉が酸素をより効率的に利用することができます。
また、高強度の運動によって心拍数が上昇し、心臓や肺などの循環器系の機能が改善されます。
これにより、酸素をより効率的に取り込み、筋肉に送り込むことができるようになります。
さらに、HIITトレーニングは、短時間で高強度の運動を行うため、有酸素運動と比較してより多くのカロリーを消費することができます。
これにより、体脂肪を減らすことができ、筋肉量を増やすことができます。
これらの効果は、VO2maxを上げるために非常に重要です。
過去の記事:有酸素トレーニングで脂肪を燃やす方法
12章.LSDトレーニング
LSDトレーニングは、長時間低強度の有酸素運動(Long Slow Distance training)の略であり、ランニングやサイクリングなどの有酸素運動を行う際に使用されます。
このトレーニングは、心拍数を一定の範囲内に保ちながら、長時間運動することで有酸素能力を向上させることを目的としています。
LSDトレーニングは、持久力を向上させるために非常に効果的な方法です。
このトレーニングは、筋肉のミトコンドリア数を増やし、血液中の赤血球数を増やすことで、酸素摂取量を増加させます。これにより、VO2maxを上げることができます。
また、LSDトレーニングは、筋肉の疲労を軽減するためにも役立ちます。長時間の有酸素運動を行うことで、筋肉のグリコーゲン貯蔵量が増加し、筋肉の疲労を軽減することができます。
これにより、より長い時間運動することができ、持久力を向上させることができます。
LSDトレーニングは、持久力を向上させるために非常に効果的な方法であり、VO2maxを上げることができます。
このトレーニングは、長時間低強度の有酸素運動を行うことで、筋肉のミトコンドリア数や血液中の赤血球数を増やし、酸素摂取量を増加させます。
これにより、より長い時間運動することができ、持久力を向上させることができます。
13章.食事の意識
ダイエットでVO2maxを上げるためには、適切なトレーニングと栄養摂取が必要です。
トレーニングを行う場合、適切な栄養摂取が重要です。
VO2maxを向上させるために意識すべき点と具体的な食事のメニューです。
- タンパク質:筋肉を修復し、成長させるために必要です。鶏肉、豆腐、卵、魚などが良い選択肢です。
- 炭水化物:エネルギー源として必要です。全粒穀物、野菜、果物などが良い選択肢です。
- 脂質:エネルギー源として必要です。ナッツ、アボカド、オリーブオイルなどが良い選択肢です。
- 水分:トレーニング中に失われた水分を補充するために必要です。水やスポーツドリンクが良い選択肢です。
朝食:
- オートミールや玄米に果物と豆類
- 卵焼き
- ヨーグルトや調整牛乳
昼食:
- 鶏肉とサラダ
- 野菜や海藻と豆腐
- サンドイッチ(全粒穀物パン、チキン、レタス、トマト)
夕食:
- 焼き魚と野菜
- 豆と野菜のカレー
間食:
- ナッツやドライフルーツ
- ヨーグルトや果物
これらの食事は、適切な栄養バランスを保ち、VO2maxを向上させるために必要な栄養素を提供します。
14章.まとめ
最大酸素摂取量(VO2max)は、運動能力の指標として重要な役割を果たします。
VO2maxが低いと、運動によるエネルギー消費が少なく、太りやすい体質になってしまいます。
そのため、最大酸素摂取量が低くて太ってしまった方がダイエットをする場合は、まず自分のVO2maxを正確に測定することが必要です。
トータルケアラボラトリーは、健康管理士、管理栄養士、トレーナーが連携している健康推進型のパーソナルジムであり、最大酸素摂取量の測定を取り入れた施設です。
トータルケアラボラトリーでは、レッスン中にVO2maxの測定が可能であり、その結果に基づいて個別に合わせた運動プログラムや食事指導を提供しています。
また、トータルケアラボラトリーでは、測定結果をもとに身体の状態や健康リスクを評価し、健康管理士や管理栄養士が個別にアドバイスを行います。
さらに、トレーナーが運動指導を行い、効果的なダイエットや健康増進をサポートします。
最大酸素摂取量が低くて太ってしまった方がダイエットをする場合は、VO2maxの測定とそれに基づく個別指導が必要です。
トータルケアラボラトリーは、そのようなニーズに応える施設として最適であり、健康管理士、管理栄養士、トレーナーが連携していることで、総合的なサポートが受けられます。