こんにちは。運動指導士の鳥飼です。
今回の記事は、パーソナルジムでアスリート向けに指導している内容を解説します。
スポーツをしていると、身体のどこかが痛い方や、痛まないように予防している方も多いと思います。
痛みや違和感があるとなかなかスポーツに全力で打ち込めません。
体を整えて、調子をよくすることをコンディションを高めると言います。
今日は、そのようなアスリートの方のコンディションを高める方法について解説していきたいと思います。
1.身体のチェックとほぐす
①身体のチェック
自分の身体をトレーニングで鍛えようとしている方は多いはずです。
それが、ダイエットやスポーツをしているアスリートであればもちろんのことです。
しかし、一度待ってほしいと思います。
体は、トレーニングの負荷に耐えられる状態でしょうか??
トレーニングを行うにあたって、
柔軟性と筋肉の質に課題がある場合は
トレーニングを行う前に改善をするべきです。
急いでトレーニングをしてしまうと、怪我をしてしまってダイエットやスポーツどころではなくなる可能性があります。
また、後に解説させていただきますが柔軟性や筋肉の質に課題がある方は、鍛えずに課題の改善をするだけでダイエット効果やスポーツのパフォーマンスが高くなることが考えられます。
無理に、トレーニングを行うのではなく課題があるのかチェックを先に行いましょう。
ここでは、柔軟性のチェックと筋肉の質のチェック方法を解説させていただきます。
②柔軟性のチェック
さて、これを読んでいる方がトレーナーや医療従事者であれば暗記した苦々しい思い出と懐かしいと思う事でしょう。
初めて見る方は、是非今後は知っておいてほしい表です。
関節可動域の意味である
ROM(Range of motion)の基準値を表した一覧表です。
関節が柔らかいとか、硬いといった表現を柔軟性では使います。
それが、関節の動く角度が何度なのかを調べるために必要なものがROMの基準値です。
関節が基準値よりも動かなければ硬いと表現し、基準値以上で動けば柔らかいと表現していいでしょう。
しかし、厳密に言えば硬いと柔らかいという表現で人間の身体を評価することはできません。
③筋肉の質のチェック
関節は、様々な骨から形成されています。
骨はまた筋肉が付着し、関節を跨いで起始と停止が付着しています。
起始と停止が関節を跨いで上下に挟み込むようにして付着しているから、筋肉が伸び縮むことで関節が曲がったり伸びたり動きます。
この筋肉の伸び縮みがROMには大きく影響します。
これが伸び縮みしずらい筋肉は、必然的に関節も動きにくいです。
また、柔軟性の中には可動性と弛緩性という言葉があります。
ただ柔らかい人の中にも、力が入りやすい人と力が入りにくい人がいます。
ROMも大きくしっかり力が入り、強く動かすことができる人は可動性が高いと言います。
逆にROMは大きいけれど、力が入りにくく縮めることができない人は弛緩性が高いといいます。
可動性が高い場合は、柔軟性やパワーもコントロールできているので理想的です。
弛緩性が高い場合は、柔軟性はあっても力も入らず関節が緩んでいるだけなので怪我もしやすくなってしまいます。慢性疲労に悩まされることも多いでしょう。
可動性が高いのか、弛緩性が高いのかをチェックしなければいけません。
圧痛テストやスペシャルテストという徒手テストも使える場合はお勧めしますが、トータルケアラボラトリーのレッスンのようにテストを行える人間を見つけ、テスト環境を作ることは簡単ではありません。
個人でチェックする場合は筋出力テストといって、単純に力が入りやすいか入りにくいかという抵抗不可のテストで大丈夫だと思います。
それもある一定の知識が必要になりますので、分からない場合はトレーニング種目を全身行い、全身と比べて弱いか強いかで判断する方法もあると思います。
弱い場合は、筋量が少ないのであれば可動性が低い場合が考えられます。
もしくは弱いのに、筋量は多い場合は弛緩性が高いと判断ができると思います。
そのようにして、柔軟性と可動性のチェックを行ってみてください。
全身のチェックを行うことで、自分がトレーニングを行っていい段階なのか、それとも課題を解決する段階なのかを判断できるようになります。
この課題を解決することをコンディショニングと呼びます。
トータルケアラボラトリーでは、
コンディショニングのチェックとケアは毎回行います。
2.関節と筋肉を動かす
①内在的フィードバック
ほぐすことができたら、身体を動かしてみましょう。
動かすって当たり前にやっているようで、実際は体の中では複雑な情報処理が行われています。
運動と一言で言っても、脳で運動をどのように誰がどう関わるのかを決定し、業務マニュアルのようなものが作られます。
そして、脳は動いてほしい筋肉に動くように命令を出します。
その指令を筋肉にあるセンサーが、業務マニュアルを読み込みます。
業務マニュアルを脳が筋肉のセンサーにFAXで送っているようなイメージです。
これを内在的フィードバックといいます。
実際に、運動をしてみてもっと強く力を出すべきだったとか、違う筋肉が働いてほしかったという反省を常に筋肉はセンサーで感じています。
実際に運動してみて、反省の中で誤差があれば修正し、
また新しい運動マニュアルを作り直します。
これを動作の学習と言ったりします。
つまり、日ごろおこなっている何気ない動きにも、筋肉は常に反省を行いより良いものにしようとしているわけです。
②外在的フィードバック
また、周りの人から動作についてアドバイスをもらうこともあるでしょう。
「プランクでもっとお尻を下げましょう!」
「背筋はもっと身体をまっすぐにして行いましょう」
このような他者からの声掛けにも体は反応し、反省会の中で修正の材料にしようとします。
これを外在的フィードバックといいます。
ただ、他者の声掛けは初心者に強く効果を発揮し、熟練した動作ではあまり効果を発揮しません。
サッカーを初めてやる人に、ボールの蹴り方を説明すると素直に聞いてくれますが、プロサッカー選手にボールの基本的な蹴り方を伝えても反省会の中では使われにくいです。
反省会には、2つの反省ポイントがあります。
1つは、内的焦点化と言って、関節や筋肉など、自分の体の中に修正点があるタイプ
もう1つは、外的焦点化と言って、他人に体を近づけすぎるなど、自分の身体ではないところに注意を向けるタイプ
初心者は自分の身体の感覚に少し疎いので、補助具などを使うことで外的焦点化を促進し、学習スピードが増えます。
是非、工夫して補助具やトレーニング道具を活用しましょう。
動作が終わる結果をまた反省することで、運動の記憶が残りやすくなります。
運動する度にアドバイスや反省を自分の中で行うよりも、反省や意識する回数を2回に1回、4回に1回と減らしていく事が運動学習効率が高まります。
褒めた群は、褒めなかった群に比べて、運動学習効果が改善します!!
運動の学習を効率的に行うには、いい結果が出たタイミングでよく褒めましょう。
そして、正しい動きが学習出来たら、次のステップであるファンクショナルトレーニングを行います。
これも強度は必要ありません。
③ファクショナルトレーニング
筋肉を鍛える筋力トレーニングと違い、動作を訓練する目的です。
ファンクショナルトレーニングは、健康と体力を維持する目的の動作を訓練していきます。
スポーツ選手のスポーツ動作の訓練としても、とても有効です。
多くの関節が運動する各パターンを取り入れた動作訓練です。
理学療法士のロブ・リー氏が言うには、ファンクショナルトレーニングは、スポーツや日常生活における動きを再現したエクササイズです。多くの筋肉や関節を使う動きだけを訓練します。
ファンクショナルトレーニングは、単純な動き、スイングなどのスポーツの動くを改善します。
運動学習が関節の単純な動きを訓練することに注目しているのに対し、
ファンクショナルトレーニングでは多くの筋肉や関節が同時に動く訓練です。
全ての運動のパフォーマンスを高めてくれます。
動作を正しく、その後に使用する筋肉を鍛えれば、怪我のリスクを減らすこともできますし、ダイエットやスポーツに役立ちます。
物を床から抱き上げる動作を想像してみると、足首、膝、腰の関節を使う必要があることが分かります。
この同じ動きをファンクショナルトレーニングの種目として採用していきます。
すると、物を抱き上げる時の怪我リスクの軽減に効果的です。
機能的な動作にするためには、何か技術が必要なわけでも、難しいこともありません。
危険なこともありません。
日常生活やスポーツに使う動作のパターンを再現する全身運動です。
ファンクショナルトレーニングは、子供や高齢者、女性にも優しいさまざまなレベルに合わせて実施することができます。
ファンクショナルトレーニングをやるからと言って、筋力トレーニングをすべてやめるということではありません。
ファンクショナルトレーニングは、トレーニングやスポーツののウォームアップやクールダウン、あるいはコンディショニングの段階に取り入れることができます。
ハードルを下げて考えましょう。
難易度、強度、頻度、負荷なども自由自在です。
自分の運動能力や体力レベルに合わせることが大切です。
安全に行えば、ファンクショナルトレーニングは誰でも行えます。
ファンクショナルトレーニングの最大のメリットは、どんな人でも行えることです。
道具を持っているかにかかわらず、さまざまな環境で行うことができます。
姿勢の安定性、そして運動連鎖の中で関節を安定させ力を入れる可働性を作ることができます。
初心者だけではなく、全員が効果を得ることができます。
ベテランのアスリートであっても、姿勢を安定させたり、運動連鎖や可動性が改善します。
そして、一言で言えば効率的に動くことができるようになります。
ファンクショナルトレーニングは高強度で限界まで追い込む必要はありません。
正しいファンクショナルトレーニングを行えば、複数の可動域や運動面を通じてバランスの取れた筋力を手にすることができます。
大切なことは、動作の基本を丁寧に行うことです。
動作を確認できるよう、エクササイズを撮影するといいでしょう。
チェックやアドバイスが欲しければ、パーソナルトレーナーと一緒に行うことも考えてみましょう。
動作の技術の負荷が強すぎるせいで犠牲になっている場合が多々あります。
負荷を軽くし、難易度を下げ、確実に正しいフォームで運動を行うしか効果を得る方法はありません。
筋肉を鍛えるということはこの段階ではいったん忘れて、動作の訓練だけに集中しましょう。
ほぐす、運動学習、ファンクショナルトレーニングの順番でここまで来ました。
ここまで行えば、コンディショニングはすべて終了です。
最後に、鍛えるのパートに進む準備をしましょう。
まだ体に課題がある場合は、ここで立ち止まってほぐす、運動学習、ファンクショナルトレーニングの3つを繰り返し実践しましょう。
3.トレーニングと定着
筋肉を鍛えると言っても、筋肉にも役割分担があります。
身体を正しく支えるインナーマッスルと、
パワーを生み出すアウターマッスルです。
①インナーマッスル
インナーマッスルは、深層筋とも呼ばれることがあります。
姿勢を作るだけではなく、骨格を正しい位置で正しく動作が行えるようにバランスを取るなどの機能も果たします。グラグラしないバランス感覚のいい身体はこのインナーマッスルの強度にも大きく影響を受けます。
全身にある筋肉は、600個ほどだと言われます。
インナーマッスルの数は、500個近くです。対してアウターマッスルは100個ほどです。
代表的な部分としてインナーマッスルと言えば、大抵は主にお腹や腰回り、肩関節回り、股関節回りも指します。
お腹や腰回りの、いわゆる体幹にある腹横筋・多裂筋・横隔膜・骨盤底筋群は背骨が安定するように支え、お腹の中にある内臓を取り囲み、内臓が安定した位置にいられるように支えています。
肩回りにある肩甲骨を取り囲むように回旋筋腱板、いわゆるローテータカフも上肢や腕を繋ぎ支えています。そこに小胸筋という胸の上にある筋肉も安定性に関わってきます。
また、股関節の部分から下肢を繋ぐ腸腰筋・小殿筋・外旋筋群も腰や下肢を安定させる役割を担っています。
②アウターマッスル
身体の触れる場所、表面にある大きな筋肉はインナーマッスルに対してアウターマッスルと呼びます。
力こぶで連想される上腕二頭筋は、肘を曲げて重たいものでも持ち上げることができます。
太ももと通称される大腿四頭筋やハムストリングスも、立ったり座ったり、歩いたり走ったりと股関節や膝関節を力強く曲げ伸ばししてくれます。
これらパワーを必要とする動作に役立つ筋肉がアウターマッスルです。
運動しない生活習慣を送ると次第に筋肉は弱くなってしまいます。
筋肉が落ちると力が出ないだけではなく、歪みが生じたり体が硬くなってしまったり、腰痛や肩こりが生じてしまったりします。
筋肉が落ちたと思って筋力トレーニングをする人も多いと思いますが、実はみなさんアウターマッスルは鍛えてもインナーマッスルを鍛え忘れるケースが多くあります。
③両方バランスよく鍛える
インナーマッスルが弱いのに、アウターマッスルが強くなってしまうと身体のバランスが崩れ、歪みや痛みが強くなってしまう傾向にあります。
インナーマッスルは、筋肉の中でも持久力に富んでいて長時間身体を支え続けることができます。
筋肉はおおむね小さい筋肉の集まりですが、身体の機能性を出すサポート役の筋肉がインナーマッスルだと言えます。
インナーマッスルをトレーニングによって強化することは重要です。身体を内側から支える力が強靭になることで、正しい姿勢の安定化、歪みのない骨格バランス、機能的なスムーズな動作の獲得につながります。
インナーマッスルの活性化によって、基礎代謝量も上がり、ダイエット効果や体の基礎体温を底上げしてくれます。深層の血流が回復することでコリやハリといっただるさの改善が期待できます。
体幹部のインナーマッスルが強化されると、背骨を支える力が強くなり意識しなくても腹筋や背筋などの筋肉も正しく使われ始め、安定した姿勢が定着します。
また、骨盤のインナーマッスルが強化されると骨盤のゆがみを矯正し、歪みから起きる腰痛が改善していきます。
インナーマッスルには、パワーを出すアウターマッスルのサポートを受け持ちます。
アウターマッスルだけを鍛えると身体の軸がぶれやすくなり、思わぬ怪我を引き起こしてしまうかもしれません。
しかし、同時にインナーマッスルを強化していく事でスムーズに大きな力を発揮することができます。
同時的にインナーマッスルを鍛え、軸を安定させることで、しなやかに身体をコントロールすることができるようになります。
そのことから特に体幹部のインナーマッスルのことを、モーターコントロールと呼びます。
動作制御盤と日本語で言えば想像がつきやすいでしょうか。
身体の違和感を感じたときに、アウターマッスルのケアなどだけをチェックするのではなく、インナーマッスルも強化しているのかという確認をするようにしましょう。
インナーマッスルの持久性が弱くなっている場合には体は不調をきたします。
インナーマッスルとアウターマッスルをバランス良く鍛えていきましょう。
④基礎代謝量を増やす
基礎代謝とは、体温を作り出したり、内臓を動かす生きるために、必要な消費カロリーです。
安静状態でも常にエネルギーは消費され続けています。
この基礎代謝量は、内臓を動かすエネルギーでもありますが、内臓は一定の消費カロリーで増やすことはできません。明日から内臓をもう一個増やそうとかできないです。
インナーマッスルやアウターマッスルの筋肉であれば、中は血管が多く通っていますので発熱もできますし筋肉量を増やすことで基礎代謝量を増やすことができます。
基礎代謝量が増えることで消費カロリーが増えていきます。
1日の平均摂取カロリーに基礎代謝量が追いつくことができれば、太ることはなくなります。
更に、平均的な摂取量を基礎代謝量が追い越せば、自然と体脂肪は減っていきます。
また筋肉量が多いだけではなく、筋肉組織が日頃から使われていて活性化している人が、基礎代謝量は高くなりやすいといわれています。
逆に、運動量が低く筋肉をあまり使っていない人は、いくら筋肉量が多くても不活性化で省エネモードに入ってしまっているため基礎代謝量は低くなってしまいます。
体質改善には、トレーニングやスポーツでエネルギーを消費することがお勧めです。
基礎代謝量が高い状態であれば筋温が高く、血流を促進させる働きもあるので、冷え性が改善していきます。老廃物の排出など、様々なメリットが期待できます。
先ほど少し体幹部のインナーマッスルについて触れました。
体幹部のインナーマッスルが弱いと、内臓が安定せず胃や腸などの位置が下垂してしまいます。
内臓が下垂すると、下腹部がぽっこりと出てしまうことがあり脂肪がついたと誤認してしまう方も多くいます。
体幹部のインナーマッスルを鍛えることで、内臓の位置を正しい位置にすることができます。
見た目だけではなく、便秘などの内臓由来の身体の不調も改善が期待できると思います。
4.まとめ
いかがだったでしょうか?
身体を鍛えたいと思ってトレーニングジムに通う方が多いと思います。
しかし、身体はほぐすことが優先事項です。
次に、負荷をかけずに関節と筋肉を動かすことを意識しましょう。
そして、最後に鍛えるという順番があります。
鍛えることはしていても、身体の関節やインナーマッスルのチェックやケアを怠っている方は多いのかもしれません。
是非今日の記事を参考にトレーニングプランを見直してみてください。
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