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トレーニングで単一部位だけを動員させるデメリットについて

【著者 パーソナルトレーナー・健康管理士・健康管理能力検定1級 鳥飼 祥秋】

ボディメイクやトレーニングでは、特定の部位に集中して筋力を鍛える「部位別トレーニング」が一般的です。この方法は、筋肉の成長や形を整えるために効果的とされています。

メリットは多いのですが、運動療法的な観点から見るといくつかのデメリットが存在することも把握する必要があります。

単一部位集中のトレーニングがもたらすリスクについて詳しく解説します。

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筋肉のアンバランス

単一部位に集中してトレーニングを行うと、他の筋肉とのバランスが崩れることがあります。例えば、上腕二頭筋だけを鍛えると、上腕三頭筋や肩の筋肉が相対的に弱くなる可能性があります。このような筋肉の不均衡は、姿勢の崩れや怪我のリスクを高めることがあります。

  • 上半身だけを鍛えることで、下半身の筋力が不足し、腰痛や膝の痛みを引き起こす。
  • 大胸筋を過度に鍛えることで、肩の後ろ側の筋肉が弱くなり、肩の前方突出や猫背を引き起こす。

可動域の制限

特定の筋肉に集中してトレーニングを行うと、その部位の筋肉が硬くなりやすく、可動域が制限されることがあります。可動域の制限は、日常生活の動作や他の運動を行う際に支障をきたすことがあります。

  • ハムストリングス(大腿二頭筋)を過度に鍛えると、股関節の可動域が制限され、走行時のステップが短くなる。
  • 上腕二頭筋を集中的に鍛えることで、肘の伸展が制限され、全身の動作に影響を及ぼす。

代償動作の発生

特定の部位に集中して筋力を鍛えることで、その部位が過剰に発達し、他の筋肉が代償的に動作を行うことがあります。これにより、非効率な動作パターンが形成され、怪我のリスクが増加します。

  • 腹筋だけを集中的に鍛えることで、背筋が弱くなり、腰部の代償動作が増え、腰痛の原因となる。
  • 大腿四頭筋を過度に鍛えることで、ハムストリングスや臀部の筋肉が代償的に働き、膝の故障を招く。

全身的なパフォーマンスの低下

運動療法の観点から見ると、全身の筋肉をバランスよく鍛えることが重要です。単一部位のトレーニングに集中することで、全身的な筋力や持久力が不足し、全体的なパフォーマンスが低下することがあります。

  • 下半身の筋力だけを鍛えることで、上半身の筋力が不足し、総合的なスポーツパフォーマンスが低下する。
  • 腕の筋力に集中しすぎると、全身の持久力が不足し、長時間の運動や競技でのパフォーマンスが低下する。

メンタル面の影響

単一部位に集中したトレーニングは、モチベーションの低下やトレーニングへの飽きにつながることがあります。多様なトレーニングを取り入れることで、トレーニングの楽しさやモチベーションを維持することができます。

  • 常に同じ筋肉を鍛えることで、トレーニングが単調になり、続ける意欲が減少する。
  • バリエーションの少ないトレーニングプログラムが精神的な疲労を引き起こし、全体的なトレーニング効果を低下させる。

他の健康リスク

特定の筋肉を過度に鍛えることで、関節や腱、靭帯への負担が増加し、長期的な健康リスクが生じることがあります。運動療法では、これらのリスクを最小限に抑えることが重要です。

  • 肩の筋肉を過度に鍛えることで、肩関節の摩耗やインピンジメント症候群のリスクが増加する。
  • 膝の筋肉を過度に鍛えることで、膝蓋骨や軟骨に過剰な負担がかかり、関節痛や炎症を引き起こす。

回復期間の必要性

特定の部位を集中的に鍛えると、その部位の筋肉に対する負荷が増加し、回復に時間がかかることがあります。適切な回復期間を取らないと、筋肉の過労や損傷のリスクが高まります。

  • 同じ筋肉を連続して鍛えることで、筋肉の回復が追いつかず、筋力の低下や怪我のリスクが増加する。
  • 回復期間を無視したトレーニングが、慢性的な疲労やオーバートレーニング症候群を引き起こす。

バランスの取れたトレーニングの重要性

運動療法的な観点から見ると、全身の筋肉をバランスよく鍛えることが重要です。これにより、筋肉のアンバランスを防ぎ、全身的なパフォーマンスを向上させることができます。また、バランスの取れたトレーニングは、怪我の予防や回復期間の短縮にも寄与します。

推奨

  • 全身トレーニング:全身の筋肉を均等に鍛えるトレーニングプログラムを設計します。例えば、スクワット、デッドリフト、ベンチプレスなどの複合運動を取り入れることで、複数の筋肉群を同時に鍛えることができます。
  • バランストレーニング:筋力トレーニングに加えて、柔軟性やバランスを向上させるエクササイズも取り入れます。ヨガやピラティスは、体全体のバランスを整えるのに効果的です。
  • クロストレーニング:異なる種類の運動を組み合わせることで、特定の筋肉に過度な負荷がかからないようにします。例えば、ランニングとサイクリング、水泳などの有酸素運動を組み合わせることが推奨されます。

まとめ

単一部位に集中したトレーニングは、その部位の筋肉を効果的に鍛える方法として一般的です。運動療法的な観点から見るといくつかのデメリットがあることは理解が必要です。筋肉のアンバランス、可動域の制限、代償動作の発生、全身的なパフォーマンスの低下、メンタル面の影響、健康リスクの増加、回復期間の必要性などが挙げられます。

これらのデメリットを克服するためには、全身の筋肉をバランスよく鍛えることが重要です。全身トレーニング、バランストレーニング、クロストレーニングを取り入れることで、健康的な体を維持し、運動能力を向上させることができます。トレーニングの効果を最大限に引き出し、長期的な健康を維持するために、バランスの取れたアプローチを心がけましょう。