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筋肉量が増える超回復と低酸素適応の2つの医学的メカニズム

【著者 パーソナルトレーナー・健康管理士・健康管理能力検定1級 鳥飼 祥秋】
筋肉量の増加を目指す際に、理解しておくべき医学的メカニズムが2つあります。
それは「超回復」と「低酸素適応」です。
これらのメカニズムは、それぞれ異なる方法で筋肉を成長させるプロセスを持ちます。
これらのメカニズムについて詳しく説明します。
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超回復

成長ホルモン分泌による筋肉増加

超回復(Supercompensation)は、筋力トレーニング後に筋肉が損傷し、休養と栄養の補給を通じて回復し、結果として筋肉が強くなるプロセスです。

  1. トレーニングによる刺激:筋力トレーニングや激しい運動を行うと、筋繊維に微小な損傷が生じます。これは筋肉の成長を促すための重要な第一段階です。
  2. 筋肉の損傷:筋繊維が損傷を受けると、体はこれを修復するための炎症反応を引き起こします。ここで成長ホルモンやインスリン様成長因子(IGF-1)などが分泌され、筋肉の修復をサポートします。
  3. 成長ホルモンの分泌:トレーニング後、特に睡眠中に成長ホルモンが分泌されます。このホルモンは筋肉のタンパク質合成を促進し、筋繊維の修復と成長を助けます。
  4. 栄養と休養の重要性:超回復のプロセスを最大限に活用するためには、適切な栄養摂取と休養が必要です。高タンパク質の食事は筋肉の修復に必要なアミノ酸を供給し、十分な睡眠と休息がホルモンの分泌を促進します。
  5. 筋肉の増加:これらの過程を経て、筋肉は以前よりも強く、かつ大きくなります。これが超回復の基本的なメカニズムです。

低酸素適応

高レップトレーニングと耐乳酸トレーニング

低酸素適応(Hypoxic Adaptation)は、筋肉内が低酸素状態になるまで高レップトレーニングや耐乳酸トレーニングを行うことで筋肉量を増やすメカニズムです。
超回復とは異なるホルモンの影響を受け、筋肉が成長します。

  1. 高レップトレーニング:高回数のレジスタンストレーニングを行うと、筋肉内の酸素供給が一時的に不足します。これにより、低酸素状態が作り出されます。
  2. 耐乳酸トレーニング:持久力を高めるトレーニングや長時間の高強度運動を行うと、乳酸が筋肉内に蓄積します。これも筋肉内の酸素供給を制限し、低酸素環境を作り出します。
  3. 低酸素状態によるホルモン反応:低酸素状態が筋肉に刺激を与えると、エリスロポエチン(EPO)や血管内皮成長因子(VEGF)などのホルモンが分泌されます。これらのホルモンは血液供給を改善し、筋肉内の酸素利用効率を高めます。
  4. ミトコンドリアの増加:低酸素状態は筋細胞内のミトコンドリアの増加を促進します。ミトコンドリアは細胞のエネルギー産生を担う重要な構造体であり、その増加により筋肉の持久力とパフォーマンスが向上します。
  5. 筋肉の酸素利用効率の向上:低酸素環境でのトレーニングにより、筋肉が酸素をより効率的に利用できるようになります。これにより、筋肉の持久力が向上し、結果として筋肉量が増加します。

科学的根拠と実践方法

これらのメカニズムには、科学的研究がその有効性を裏付けています。
例えば、超回復に関する研究では、適切な休養と栄養補給が筋肉の成長に不可欠であることが示されています。
一方、低酸素適応に関する研究では、高地トレーニングや低酸素トレーニングが持久力と筋肉量の増加に効果的であることが確認されています。


実践方法

  1. トレーニング:超回復を最大化するために、トレーニングと休息を周期的に組み合わせることが重要です。例えば、週に3回の強度の高いトレーニングを行い、その後2日間の休息を取るサイクルを設定します。
  2. 高レップトレーニングの導入:低酸素適応を促進するために、高回数のレジスタンストレーニングを取り入れます。これにより、筋肉内の酸素供給が制限され、適応反応が引き起こされます。
  3. 栄養補給:筋肉の修復と成長をサポートするために、高タンパク質の食事を摂取します。また、適切なビタミンやミネラルの補給も重要です。
  4. 持久力トレーニング:耐乳酸トレーニングや長時間の有酸素運動を定期的に行うことで、筋肉の酸素利用効率を向上させます。
  5. 自分に合ったプログラムの作成:それぞれの目標やフィットネスレベルに応じて、トレーニングプログラムを作成します。持久力向上を目指す場合は低酸素トレーニングを、筋力増強を目指す場合は超回復を重視したプログラムを組みます。

まとめ

筋肉量を増やすためには、超回復と低酸素適応という2つの異なるメカニズムを理解し、活用することが重要です。
超回復は、トレーニングによって筋肉に損傷を与え、成長ホルモンの分泌と栄養・休養を通じて筋肉を強化するプロセスです。
一方、低酸素適応は、高レップトレーニングや耐乳酸トレーニングを通じて筋肉内の低酸素状態を作り出し、特定のホルモンの影響で筋肉を増強するメカニズムです。

これらのメカニズムを組み合わせたトレーニングプログラムを実践することで、効果的に筋肉量を増やし、全体的なフィットネスレベルを向上させることが可能です。
科学的根拠に基づいた方法で、個別の目標に合わせたトレーニングを行うことで、最適な成果を得ることができるでしょう。