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脂肪のことを知って、ダイエットの効果を高めよう。

【著者 パーソナルトレーナー・健康管理士・健康管理能力検定1級 鳥飼 祥秋

ダイエットをするときに、やみくもに食事制限と運動で痩せると考えていませんか?
ダイエットをするなら、脂肪のことを良く知っておく必要があります。
脂肪にまつわる言葉には種類があり、形を変えて名前も変わります。
脂肪の落とし方を考えるときには名前も含めて流れを知っておくべきです。
脂肪のこと、どこまでご存じですか?
敵のことを知ることが、戦いにおいては重要です。
今のレベルから脱却して、正しく脂肪を落とすことができるように、今日は脂肪について焦点を当てて解説していきたいと思います。

トータルケアラボラトリーでは健康管理士資格保有者とトレーナー資格保有者があなたの健康、ダイエット、美容についてサポートさせていただきます。
予防医療とフィットネスをコラボさせたパーソナルトレーニングジムです。

健康管理士であり、トレーナーでもある鳥飼が情報をブログにて配信しています。

是非、過去の記事も参考にしてください。

1章.医学的に見た体脂肪

体脂肪は、身体に存在する脂肪組織のことです。
食べ物のエネルギーを貯蔵したり、体温を調節する役割があります。
体脂肪の種類は、皮下脂肪と内臓脂肪の2種類があります。

皮下脂肪は皮膚の下にあり、身体のボディラインなど外見や印象に影響を与えます。
内臓脂肪は、肝臓など内臓の周りにあり、内臓を保護する役割や代謝に影響を与えます。

食事から食べたエネルギーが全部消費されなかった場合、余ったエネルギーは体脂肪として貯蔵されます。
このようにして貯められた体脂肪は、エネルギーが不足した時、もしくは必要になったときに利用されてなくなります。

また、体脂肪は身体を保護する役割も果たしています。
皮下脂肪は、外部からの衝撃を吸収し、骨や組織を保護します。
内臓脂肪は内臓を包み込み、外部の衝撃から内臓を守ります。

他にも体脂肪は体温調節にも関与しています。
脂肪組織は断熱材となり、体温の上昇や低下を防ぐ効果があります。
代謝活動も関与し、エネルギーの消費やホルモンの分泌などに影響します。

体脂肪の量は健康状態や生活習慣によって変わります。
適切な量の体脂肪は健康維持に重要です。
多すぎる体脂肪量は、肥満や健康問題のリスクとなります。
多すぎる体脂肪が蓄積すると、心血管疾患、糖尿病、高血圧、関節痛などのリスクが増加します。

2章.体脂肪はエネルギーの貯蓄庫

人間の身体はエネルギーを生きること、生活、運動など使う必要な量だけを消費します。食べる量が多いと余分なエネルギーは貯蔵庫に保管されます。
この余分なエネルギーは、体脂肪として貯蓄されます。

体脂肪の貯蔵は、食べ物を食べたエネルギーの量と運動や生活で消費した量のバランスによって決まります。
食事で取り込んだエネルギーは、まず胃などの消化器系で脂質や糖質といった「栄養素」に分解され、血液中に吸収されます。
血液中では糖は「ブドウ糖」、脂質は「脂肪酸」といった形に変換され、内臓や筋肉など「組織」のエネルギー源として運ばれます。

食事から取り入れたエネルギーが必要な量を上回る場合、体内では体脂肪として貯蓄しようとします。

まず、糖質を含む食べ物を食べたら血糖値が上がり、反応してインスリンというホルモンが膵臓から分泌されます。
インスリンは血糖値を下げるために働きます。

インスリンは、肝臓や筋肉において糖質を「グリコーゲン」という形にして貯蔵します。
同時に脂肪の分解を防ぐために、血液の中での自由に動き回れる分解された脂肪の形である「脂肪酸」になることを抑制します。

しかし、グリコーゲンには貯蔵できる容量が限られているため、余分なエネルギーは体脂肪として貯蔵されます。

脂肪細胞は、脂肪酸とグリセロールを合体させ中性脂肪「トリセグリセリド」を合成し、細胞内に貯蔵します。

この中性脂肪は、エネルギーが必要な時に分解され、遊離脂肪酸とグリセロールに変化します。遊離脂肪酸は再び血液中に放出されます。運動など必要があれば使われてなくなります。使われなければ再び脂肪組織に再合成されます。

食事の内容や量、運動量、代謝率などが体脂肪を貯蔵するかを決めます。

例えば、高カロリーな食事や運動不足の状態では、食べたエネルギーが消費されずに残り、残れば体脂肪として貯蔵されます。

また、同じ食事や運動習慣でも他の人よりも体脂肪を貯めやすい傾向の人もいます。

これは、遺伝子によってエネルギー代謝が低いことや、内臓の機能が正常に働いていないことが原因とされています。

さらに、ストレスや睡眠不足などの生活習慣も体脂肪を増やす原因です。

ストレスや睡眠不足は、ホルモンバランスを乱します。
その結果、エネルギーの消費がスムーズに行われず、余ったエネルギーが体脂肪として貯蔵されることになります。

3章.脂肪酸

脂肪について覚えておきたい「脂肪酸」があります。

食事から体内に入ってきた脂質が体内で代謝される過程で脂肪酸は重要な役割を果たします。

食事で食べた脂質は、主に中性脂肪「トリグリセリド」という形です。
トリグリセリドは、「脂肪酸」が分子の小ささで3つ結合した形です。

食事から摂取されたトリグリセリドは、消化酵素であるリパーゼによって分解され、脂肪酸とグリセロールに分解されます。

脂肪酸とグリセロールは、次に小腸の上皮細胞という所に吸収されます。

吸収された脂肪酸は、小腸内で再びトリグリセリドに結合し、キロミクロンと呼ばれる特殊なタンパク質でできた包袋の物質に包まれます。
キロミクロンは、血液中を移動するためにリンパ管に取り込まれます。

キロミクロンは、リンパ管を通じて血液中に放出されます。

そして血液中ではアルブミンと結合して運搬されます。

この結合は血液中だけであり、脂肪酸が必要な組織に到達するとお別れします。

脂肪酸は、その後エネルギーとして使われ燃焼したり、細胞の材料として利用されます。

この場合、脂肪は減るのでダイエットは成功します。

ダイエットを成功させたい場合、エネルギーとして使わせることが大切です。

脂肪をエネルギーで使うことを詳細に見ていきたいと思います。

エネルギーとして使われる場合、脂肪酸は筋肉や肝臓内のミトコンドリア内で「β酸化」と呼ばれるシステムによって、「アセチルCoA」という化合物に変換されます。

アセチルCoAは、筋肉や肝臓の中のクエン酸回路(またはTCAサイクル)という場所に入り、最終的にエネルギーとみんなが呼んでいる、正式名称ATP(アデノシン三リン酸)というエネルギー分子が作られます。

ダイエットに成功する場合にはこのようにエネルギーが使われて脂肪が減っていきます。

逆に体脂肪が増えて、ダイエットが失敗する場合を考えてみましょう。

体内に食事から必要以上のエネルギーが取り入れられた場合、脂肪酸は新しく合成されます。

新しい脂肪酸の合成は主に「肝臓」で行われ、脂肪酸から変身した「アセチルCoA」が何個も連結されて、「長鎖脂肪酸」が形成されます。

この仕組みは「脂肪酸合成経路」と呼ばれ、アセチルCoAカルボキシラーゼという酵素が手伝います。

長鎖脂肪酸は分解しないと外に運ぶことができなくなります。

長鎖脂肪酸になると分解が必要で、一般的に分解するためには有酸素運動などの運動を行ってアドレナリンと呼ばれるホルモンを分泌する必要があります。

そこでダイエットには運動が必要なのです。

アドレナリンが分泌されると、興奮性ホルモン感受性「リパーゼ」という物質が生まれます。

このリパーゼが脂肪を分解します。

分解された後は遊離脂肪酸とグリセロールに分かれ、遊離脂肪酸になった脂肪は肝臓や筋肉のβ酸化によって運動エネルギーとして燃焼されます。

食べ物から新しく合成された脂肪酸は、他にも肝臓や脂肪組織の細胞内に「トリグリセリド」として貯蔵されます。

これらのトリグリセリドは、エネルギーが必要となる運動時や、食事からのエネルギー供給が一時的に停止した場合に利用されます。

食事を制限することでエネルギー供給が停止し、生きるためにエネルギーが必要となれば「トリセグリセリド」は分解されエネルギーとなって燃焼されます。


4章.中性脂肪

食事から脂肪合成、脂肪燃焼までのプロセスでは、中性脂肪は重要な役割を果たします。

食事から摂取した脂肪は、消化器系で分解されて中性脂肪「トリセグリセリド」として吸収されます。

中性脂肪は小腸の上皮細胞内で再合成され、コレステロールとタンパク質と結びついてリポタンパク質となります。

リポタンパク質は血液中に放出され、体内の各組織に運ばれます。

中性脂肪はホルモンの合成にも関与しています。

特に、中性脂肪から産生されるリポカインと呼ばれる物質は、食欲やエネルギーバランスを調節する重要な役割を果たしています。

5章.脂肪組織

食事から脂肪合成、脂肪燃焼までのプロセスでは、脂肪組織は重要な役割を果たします。


まず、食事によって摂取された脂肪は、消化器系を通じて小腸に吸収されます。

ここで、脂肪はトリグリセリドという形で吸収されます。

吸収されたトリグリセリドは、血液中を運ばれながら各組織に供給されます。

脂肪組織では、トリグリセリドが再合成されて蓄積されます。

このプロセスは、脂肪細胞内の小胞体やゴルジ体などの細胞内小器官で行われます。


脂肪組織では、トリグリセリドの合成も行われます。

このプロセスは、アセチルCoAという代謝物質が脂肪酸に変換されることから始まります。

アセチルCoAは、糖やアミノ酸などの他の栄養素からも生成されます。

脂肪酸は、脂肪組織内の細胞内小器官であるミトコンドリアに取り込まれ、そこでβ酸化と呼ばれる反応を経てアセチルCoAに分解されます。

このアセチルCoAは、再びトリグリセリドとして合成され、脂肪細胞内に蓄積されます。


脂肪組織に蓄積されたトリグリセリドは、エネルギーが必要な場合に燃焼されます。

エネルギー需要が高まると、ホルモンのシグナルによって脂肪細胞内のトリグリセリドが分解され、脂肪酸とグリセロールに分解されます。

このプロセスは、脂肪細胞内の特殊な細胞小器官であるリソソームで行われます。

脂肪酸は、血液中を運ばれながら他の組織に供給され、ミトコンドリアでβ酸化と呼ばれる反応を経てエネルギーとして利用されます。

6章.グリセロール

食事から脂肪合成、脂肪燃焼までのプロセスにおいて、グリセロールは重要な役割を果たします。

グリセロールは三糖類であるトリグリセリド(脂肪)の構成要素の一つであり、脂肪の合成や分解に関与します。

まず、食事から摂取した脂肪は小腸で消化され、脂肪酸とグリセロールに分解されます。

この過程は脂肪消化酵素であるリパーゼによって促進されます。

グリセロールは小腸から血液中に吸収され、肝臓に運ばれます。

肝臓では、吸収されたグリセロールは再利用または新たな脂肪の合成に使用されます。

再利用される場合、グリセロールは再びトリグリセリドの構成要素として利用されます。

一方、新たな脂肪の合成が必要な場合、グリセロールは他の栄養素(例:糖やアミノ酸)と結合してトリグリセリドを形成します。このプロセスは脂肪酸との結合を介して行われます。

脂肪燃焼のプロセスでは、グリセロールはトリグリセリドから分解されます。

脂肪酸とグリセロールは別々に分解され、脂肪酸はエネルギー源として利用されます。

グリセロールは肝臓でグルコースに変換され、エネルギー供給や他の代謝プロセスに利用されることがあります。

したがって、グリセロールは食事から摂取した脂肪の合成や分解に関与し、エネルギー供給にも関わる重要な役割を果たしています。

7章.グルコース

名前が似ている物質にグルコースがあります。

グリセロールは脂肪だったのに対して、グルコースは糖質です。


食事を摂取すると、消化器系によって食物は分解され、栄養素が吸収されます。

炭水化物(主にデンプンや糖)は消化酵素によってグルコースに分解され、小腸で吸収されます。

このグルコースは血液中に放出され、血糖値が上昇します。


血液中のグルコースは、エネルギー供給源として利用されます。

筋肉や脳などの組織は、グルコースを取り込んでエネルギーを生成します。

特に脳はほぼ完全にグルコースを利用し、その他の組織もエネルギー不足時には主にグルコースを利用します。


血液中のグルコース濃度が高い場合、肝臓や筋肉はグリコーゲンとしてグルコースを貯蔵します。

グリコーゲンは多数のグルコース分子が結合した形態であり、エネルギー不足時に分解されてグルコースを放出します。このグリコーゲン合成は、脂肪合成の抑制にも関与します。


食事から摂取された過剰なエネルギー(特に炭水化物)は、肝臓や脂肪組織で脂肪として合成されます。

この過程では、グルコースがアセチルCoAとなり、その後脂肪酸として結合されます。

この脂肪酸はトリグリセリドとして脂肪細胞に貯蔵されます。


エネルギー需要が高まると、体内の脂肪細胞からトリグリセリドが分解され、脂肪酸として放出されます。

この脂肪酸は再びアセチルCoAに変換され、クエン酸回路を経てミトコンドリアで酸化されます。この過程で、グルコースもエネルギー生成のために利用されます。

8章.コレステロール

コレステロールという言葉も聞いたことのある方は多いのではないでしょうか。

コレステロールは動物性食品に多く含まれており、主に肉、乳製品、卵などから摂取されます。

また、一部の植物性食品にも微量のコレステロールが含まれています。

吸収と輸送: 食事から摂取したコレステロールは小腸で吸収され、リポタンパク質と結合して輸送されます。

このリポタンパク質としては、コレステロールエステルを主成分とするコレステロールリッチリポタンパク質(LDL)や、高密度リポタンパク質(HDL)があります。

吸収されたコレステロールは肝臓に運ばれ、一部は細胞内で利用されるためにそのまま保持されます。

また、一部は肝臓で再合成されてトリグリセリドやコレステロールエステルと結合し、低密度リポタンパク質(VLDL)として血液中に放出されます。

VLDLは血液中を循環し、一部は脂肪組織に取り込まれます。

ここで、VLDLからトリグリセリドが分解され、脂肪酸とグリセロールになります。

脂肪酸はエネルギー源として利用されるか、再びVLDLとして血液中に放出されます。

HDLは逆コレステロール輸送と呼ばれるプロセスで、細胞や組織から余分なコレステロールを回収し、肝臓に運びます。

肝臓ではこのコレステロールを胆汁中に排泄し、一部は腸管で吸収されずに体外へ排出されます。

9章.遊離脂肪酸

まず、食事の脂肪は消化器官で分解され、小腸で吸収されます。

吸収された遊離脂肪酸は、血液中をトランスポータータンパク質であるアルブミンに結合して運ばれます。この結合は一時的なものであり、遊離脂肪酸は必要な場所に解放されることがあります。

エネルギー供給の場合、遊離脂肪酸はミトコンドリアと呼ばれる細胞内のエネルギー生産場所に取り込まれます。

ミトコンドリアでは、遊離脂肪酸はβ酸化と呼ばれる過程を経て、アセチルCoAという物質に分解されます。

このアセチルCoAはクエン酸回路に入り、最終的にATPというエネルギー分子が生成されます。

一方、脂肪組織の合成の場合、遊離脂肪酸は再び三酸グリセリドとして合成されます。

このプロセスは脂肪細胞内で行われ、遊離脂肪酸がグリセロールと結合してトリグリセリドが形成されます。

脂肪細胞内の小胞(または液胞)に貯蔵され、必要な時にエネルギー供給や他の組織への供給のために分解されます。

10章.まとめ

脂肪と一言で言っても、脂肪は体内で形を変えます。

場所を変えたくさん変身します。

脂肪は貯蔵されたり、合成されたり、分解されたり、運搬されたり、燃焼したりと複雑なメカニズムが存在することが分かりました。

この複雑な流れを理解していくだけでも、運動って大事なんだなとか食事を食べ過ぎると脂肪が分解されにくい長鎖脂肪酸になってしまうとか考えられるようになると思います。

肝臓や筋肉の質を高めていかないとβ酸化がうまくできない理由もわかっていただけたと思います。

今日から少しだけ理解を高めて日々の生活に落とし込んでみてください。