低血圧とは、安静時の血圧が一般的な正常範囲(収縮期100~120mmHg)よりも低い状態を指します。健康な人でも見られることがありますが、血流不足により立ちくらみや疲労感、集中力の低下といった不調が生じることもあります。
低血圧の原因から症状、改善のための食事と運動方法までをわかりやすく解説します。
【低血圧の4つの主な原因】
1. 生理的な低血圧(病気ではないタイプ)
- 体質的な低血圧:特に若い女性ややせ型の人に多く、遺伝的な要因も関係します。
- 運動習慣による低血圧:マラソン選手などの持久系アスリートに見られ、心拍数と血圧が低く保たれることがあります。
2. 起立性低血圧(立ち上がると血圧が急降下)
- 自律神経の調整異常:高齢者やパーキンソン病などで見られます。
- 脱水・下痢・発汗過多:血液量が減少し血圧が保てなくなります。
- 薬剤の影響:降圧薬、利尿薬、抗うつ薬などが関与することも。
3. 二次性低血圧(疾患によって起こる)
- 心疾患:心不全、不整脈などにより血流が低下。
- 内分泌異常:副腎不全(アジソン病)や甲状腺機能低下症が関与。
- 感染症・敗血症:血管の拡張により著しく血圧が下がる。
4. 食後低血圧(食後に血圧が下がる現象)
- 食後、血液が消化器に集中し脳への血流が減ることで起こります。
- 高齢者や糖尿病・神経疾患のある方に多く見られます。
【低血圧の代表的な症状】
分類 | 症状 |
---|---|
脳の血流不足 | 立ちくらみ、めまい、ぼーっとする、頭痛、集中力低下 |
循環不全 | 動悸、手足の冷え、顔色が悪い、胸部圧迫感 |
消化器系 | 食後の強い眠気、吐き気、胃もたれ |
精神面 | イライラ、不安感、睡眠の質低下 |
重度 | 失神、日常生活の制限(外出や運動に支障) |
【低血圧になりやすい食習慣】
食生活のパターンとリスク
食習慣の特徴 | 低血圧のリスク要因 |
---|---|
少食・朝食抜き | エネルギー不足 → 血流量減少 |
減塩しすぎ | 体液量が減り血圧維持が困難 |
水分摂取が少ない | 脱水 → 血圧低下 |
肉・魚をあまり食べない | 鉄・タンパク質・ビタミンB群不足による貧血や神経機能低下 |
炭水化物だけの食事 | 食後低血圧の原因に |
動物性食品を極端に制限 | 栄養素不足 → 自律神経機能低下 |
【低血圧を改善するための食事のポイント】
- 1日3食+間食で少量頻回を意識
- 主食(ごはん・パン)をきちんと食べる
- 水分は1.5〜2L/日を目安に補給
- 適度な塩分摂取(※医師の指示がある場合)
- タンパク質・ビタミン・鉄・亜鉛を積極的に摂る
- 例:豚肉、レバー、卵、魚、納豆、キウイ、玄米など
- 食後はすぐに立ち上がらず、しばらく安静に
【低血圧を改善する運動習慣】
種類 | 内容 | 効果 |
---|---|---|
有酸素運動 | ウォーキング・水中運動など(1日20〜30分) | 血流改善、自律神経活性 |
下半身の筋トレ | スクワット、カーフレイズ、ランジなど | 血液還流促進、ふらつき予防 |
呼吸法・ストレッチ | 腹式呼吸、胸郭ストレッチ、ヨガなど | 呼吸筋強化、神経調整 |
起立性対策運動 | 起床前に足を動かす、立位でのつま先運動など | めまいや立ちくらみの予防 |
※激しい筋トレや高温環境での運動は血圧低下を助長する恐れがあるため注意が必要です。
【まとめ】
低血圧は「体質」「自律神経の乱れ」「基礎疾患」「食生活や水分不足」など多くの要因が関与します。
症状がつらい場合は、食事や運動の改善を行いながら、必要に応じて医療機関での検査や治療を受けることが大切です。