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「腰が痛いなら腹筋を鍛えましょう」と安易に言うことの落とし穴

1. 🔎 腰痛の原因は一様ではない

腰痛の原因は、筋肉疲労だけでなく、以下のように多岐にわたります。

  • 椎間関節性腰痛(関節由来)
  • 椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症(神経由来)
  • 筋筋膜性腰痛(筋・筋膜由来)
  • 骨盤の不安定性
  • 内臓機能障害による関連痛

腹筋が弱いから=腰痛が起きるとは限りません。


2. ❌ 無差別に腹筋運動を処方すると悪化の危険

特に「クランチ」や「シットアップ」のような屈曲動作の腹筋運動は、次のような問題を起こすことがあります。

  • 腰椎の過屈曲 → 椎間板に圧力が集中
  • 腸腰筋の過活動 → 腰椎前弯の強調と腰痛増悪
  • 痛み回避による代償運動 → 他の部位に負担集中

むしろ症状を悪化させる場合があります。


3. ✅ 鍛えるべきは「腹筋群」ではなく「体幹の安定性」

「腹筋」といっても、腹直筋・腹斜筋・腹横筋などの分類があり、特にインナーマッスルである腹横筋や多裂筋、骨盤底筋の機能が重要です。

  • 腹横筋 → 腹圧を高めて脊柱を支える
  • 多裂筋 → 背骨を安定させる深層筋
  • 骨盤底筋 → 腹圧を逃がさず支える底部構造

「鍛える」よりも「使える状態にする」ことが重要


4. 🧠 まずは評価から始めるのが正しいステップ

本来の正しい流れはこうです:

  1. 痛みの部位・質・誘発動作の確認
  2. 可動域・筋力・神経支配の評価
  3. 腹圧保持テスト(例:腹横筋のドローイン)
  4. 運動処方の適否を判断

☑ 評価を飛ばして「腹筋を鍛えましょう」は根拠のない指導です。


5. 🧩 適切なアプローチ:腹圧トレーニングと安定化エクササイズ

腰痛のある人に必要なのは、次のようなエクササイズからの段階的アプローチです。

  • ドローイン(腹横筋活性)
  • デッドバグ(体幹固定の協調性)
  • バードドッグ(多裂筋・脊柱安定)
  • ヒップリフト(骨盤と腰椎の連動)
  • ウォールプランク(腹圧キープの基礎)

☑ 「腹筋を鍛える」ではなく、「体幹を再教育する」ことが鍵。


✅ まとめ

「腰が痛いなら腹筋を鍛えましょう」という指導は、根拠のない一般論に過ぎず、逆効果になる危険もある
痛みの評価 → 腹圧と安定性の確認 → 適切な体幹エクササイズの選択
この順序を踏むことで、安全かつ効果的に腰をサポートできます。